Part1 税理士を解体する①成り立ちから
2021年10月27日

<決算方法>Part1「税理士を解体する」①税理士の成り立ちから考える

社長たちと話をしていると「オレは公務員が嫌いだ!」という声をよく聞きます。社長というのは公務員的要素を捨てた人なので、そういうのも頷けます。公務員さんといえば、「安定志向」「終身雇用」「寄らば大樹の陰」「保身の強さ」などが傾向として挙げられますね。

 

なぜ公務員さんを取り上げたかというと、「社長、あなたが一番嫌いな存在を一番身近に置いて、もしかして先生と呼んでいませんか?」と問いかけたいからです。その存在とは、顧問税理士です。その税理士がいかなる仕組みで出来上がっているかをまずは知ることです。少しずつ税理士を解体してみましょう。

 

 

税理士資格を得るには主に2つの方法があります。
①税務署に23年以上勤務した者(OB組)
②税理士試験に合格し、実務経験が2年以上ある者(試験組)

税理士の資格取得

それぞれを詳しく調べてみましょう。ご自身がその立場だったとして考えてみてください。
①は税務署勤務23年以上とありますが、現役時代所属していた部署は問われません。
https://www.all-senmonka.jp/guide/4044/
ですから、課税部門以外で働いていた人もその権利があるのです。
さらに課税部門(主に所得税、法人税、相続税)だったとしても、所得税に配属されれば退職まで移動はなく、従って法人税、相続税は未経験で終わると関係者から聞いています。しかも試験は免除されているわけですから、専門外の勉強は自助努力となります。
つまり、この段階では税理士としては「素人さん」ですね。あっ、これは国税庁出身者も同じです。
<逸話>ある税理士法人のオーナーがある国税職員をスカウトし自社に採用、すぐさま相続の案件を任せたところ、「すみません、私は相続の経験がないので全く分かりません。逆に教えてください。」と言われたそうです。

 

これだけ厳しい状況なのに、なぜ公務員が独立の道を選ぶのでしょうか。
それは以前は顧問先の斡旋が行われていたからです。すべての道を自力で開拓することを選んだ社長、あなたはこれをどう思われますか?
https://www.zeikai.net/data_files/view/65/mode:inline

 

次に②の試験組です。
難しい試験5科目に合格したのですから、①の人より知識はありそうですね。しかし、実務経験が全くありません。ですから、どこかの税理士事務所で2年間の実務経験を義務付けられているのです。
その2年が終了したからといって独立する実力があるとは限りません。普通はどこかの税理士事務所の社員となり、実力が付くまで経験を重ねます。つまり、当分の間「素人さん」です。
<余談>先日、実務経験が終わったばかりの税理士さんと打ち合わせをする機会がありました。30歳くらいの男性、真面目で誠実そうでした。しかし、あまりにもガチガチで、社長たちとお付き合いするには幅の広い勉強がこれから必要だなあと感じました。

 

①②とも素人さんですから、独立開業するならそれなりの指針というか考え方の核が必要になってきます。
そこで誕生したのが皆さんよくご存じの「TKC(栃木県計算センター)」です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/TKC
TKCは簡単に言うと、税理士の実務のアドバイザーであり、実務を円滑に行える計算ソフトなどを提供する会社です。独立開業する上でこんなに心強い組織はないですね。ですから多くの開業税理士がここに登録しています。
<蛇足>私が自信をもってご紹介したい税理士事務所はどういうわけかTKCと反目しています。

 

では、①②の割り合いはどうでしょうか。
税理士全体におけるそれぞれの割り合いを見てみましょう。2013年のデータですが、ご覧ください。
https://www.integrity.or.jp/zeirishi-shurui-ninzuu/
試験組と試験免除組(OB組など)で比較すると45.9%:54.1%と若干免除組が多いですね。

 

数字で見ると拮抗していますが、ひと昔前までは税務署OBが圧倒的な存在感を放っていました。というのは、税務署に顔が利く、税務調査が入りにくい、入っても穏便に収めてくれるといった噂が一般的に流れていたからです。このことの是非を問うていたら、問題が別のところに行ってしまうので止めておきます。
実際に税務署OBの効力はかつて一定の割合はあったようですが、現在は縮小傾向、一般の社長たちが気にするほどではなくなったと考えてよいようです。

 

より重要な問題はそこではなく、そもそも税理士が生まれた元々の理由は徴税のためであるという部分です。税務署はもちろん徴税するところ、税理士、特に税務署OBも徴税する人ときたら、社長は法人税を払う選択肢しかなくなります。本当にこれが会社にとって良い決算なのかという疑問を差しはさむ余地がなくってしまうのです。

ですから、こんな美辞麗句が出来上がり、社長たちを信じ込ませる結果となりました
「法人税を払うのは会社の義務である。それが社会貢献なのである。」

 

 

そこそこの成功を収めた社長の多くはこれを言います。私はこれを良くないことだと思っています。なぜなら、まだ成功しているとは言えない社長がこれを聞いたら影響を受けるからです。そして、この納税が原因で上手くいかなくなった時、上記の社長が責任を取ってくれますか?・・・とりません! つまり、この言葉は成功した社長の自己満足の表現の一部と捉えた方が良いです。ちなみに、これを言った社長に、この言葉の理論的根拠を求めても明快な答えはありません。当然です!答えはそもそもないからです。
<余談>社長は自らが成功したという証が欲しい。

 

さて、話を戻しますと、税務署OBが税理士業界を席巻していた時代が長く、その影響がいまだに強く残っていることを言おうとしてます。独立したばかりの税務署OBが顧問先の決算書に自分のハンコを押すとき、税務署の元同僚が称賛してくれる決算書を提出したいと思うのは心理的に当然だと思います。(この是非は問うていません)では、どんな決算書になるでしょうか。徴税額の大きさですね。ここでは法人税です。

 

かくして経理の教科書に書かれている、
「利益が出たら、法人税を払って剰余金を残しましょう。結果、自己資本比率が高くなり、これを健全経営と呼ぶのです。」
という決算を大中小零細に既製品のごとく着させてしまう決算が常識となったのです。

 

これを信じて疑わない人たちを挙げておきます。
税理士の9割以上、ほとんどの銀行マン、各種コンサル、法人に関係するほとんどすべての人。

 

なぜ会社の生命線ともいえる最も大切な部分を軽々とこういうのでしょう?
それは自らが経営経験がないので分からないのです。さらに、やはり他人事なのです。もう一つは、致命的な勉強不足です。信じて疑わないことを検証する人はいないですよね。
決算のこの部分は人体の手術に例えると、脳や心臓深部の手術です。この生命にかかわる大切な分野をいかに多くの人が軽々し口にしていることか! 知らなかった・・・では済まされないことだと私は思います。

 

今回のまとめは、こうなります。
1.税理士の言うことを過信しないこと。(経営では社長がプロ、税理士はアマです)
2.法人税を極力払わない決算方法はあります。この方が事業承継には有効です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

<決算方法>Part1「税理士を解体する」①税理士の成り立ちから考える

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